やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2017/07/25
個人が土地等を収用等された場合の所得税の課税の特例と、買換え資産の取得費

[相談]

 このたび、私が所有している土地建物(居住用)が、国の公共事業のために土地収用法の規定に基づいて収用されることとなりました。国から買い取りの申し出を受けましたので、私はその土地建物を売却し、新たに居住用の土地建物を購入する予定です。

 私はこの買換えについて、「収用等に伴い代替資産を取得した場合の特例」の適用を受ける予定ですので、所得税が発生することはないと考えていますが、大丈夫でしょうか?
 また、所得税につき、他に留意すべき事項があれば教えてください。

※なお、今回の土地売却の概要は下記のとおりです。
  1. 土地建物の売却価額 1億円(対価補償金)
  2. 譲渡のために要した費用 500万円
  3. 売却する居住用資産の購入額 5,000万円(土地及び減価償却費控除後の建物価格の合計)
  4. 新たに購入する土地建物の購入額 1億円(土地6,000万円、建物4,000万円)

[回答]

  1. ご相談の土地建物売却については、特例の適用を受けることを前提としますと、所得税は課税されません。
  2. ただし、将来の資産売却の可能性も踏まえて、他の特例の適用も検討されるとよいと思われます。

[解説]

 ご相談の場合のように、個人が、法律で収用権が認められている公共事業のために土地建物を売った場合には、所得税法上「収用等の課税の特例」が受けられます。この課税の特例には次の2つがあり、どちらか一方の特例を選択して適用することができます。(「収用等の課税の特例」は、個人が支払われる補償金のうち、「対価」補償金に限って適用されます。)


(1)収用等に伴い代替資産を取得した場合の特例

 この特例は、一定の要件を満たすときには、補償金等の全部で代わりの資産を取得したときは譲渡がなかったものとされ、補償金等の一部で代わりの資産を取得したときは、残りの補償金等について譲渡所得が課税されるというものです。

(2)収用等の場合の5,000万円の控除の特例

 この特例は、一定の要件を満たすときには、譲渡所得の計算上5,000万円までの特別控除額を控除することができるというものです。


 ご相談の場合、(1)の買換えの特例の適用を受け、かつ、売却額と購入額が同額のため、所得税は課税されません。ただし、買い換えた居住用資産に譲渡した居住用資産の取得価額が引き継がれることに注意が必要です。具体的には下記のとおりとなります。

  • 引き継ぐ取得価額(土地建物合計)
      売却する資産の購入額5,000万円+譲渡費用500万円=5,500万円
  •  
  • 土地と建物への配分
      土地:5,500万円×6,000万円/1億円=3,300万円
      建物:5,500万円×4,000万円/1億円=2,200万円

 したがって、今回新たに購入した土地建物を将来売却する場合のそれぞれの取得価額は、上記のとおりとなり、実際の購入価格とは異なります

 これに対し、(2)の5,000万円の控除の特例の適用を受けた場合には、将来売却する場合の資産の取得価額は、実際の購入価格となります。

 よって、今回の売却に対する所得税負担だけでなく、将来の売却の可能性とその所得税負担も考慮して、どちらの特例の適用を受けるかを顧問税理士とご相談ください。


[根拠法令等]
所法33、38、58、所令168、所基通33−9、措法31、32、33〜33の3、33の6、36の2、36の4〜5、37、37の3〜4、37の6、措令20、措令24の3、措通31・32共−5など


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